未確認生物の中には時折、奇妙な響きや意味を持つものも存在している。今回紹介する南米アルゼンチンの湖に生息する未確認生物もそんな奇妙な名前で呼ばれているものの一つだ。
高地のラカン国立公園内に存在するラカル湖には昔から「クウェーローワ」という名前の巨大な生物が生息しているという話があった。この未確認生物の全身を見た人物はいないが、黒っぽくて丸い頭、ないしは背中の一部と見られる部分が湖の上に出ることがあるとされている。
そんな目撃証言から名付けられたのがこの名称なのだが「クウェーローワ」とは現地の言葉でなんと「丸くて黒っぽい牛の尻」を意味するのだ。
牛の尻を想像するような、大きくて丸いものが浮かぶということなのだろうが、意味が分かるとなんとも脱力しそうになる名称である。
ちなみにこの未確認生物は別の名前で呼ばれることもあり、そちらは「エル・ビーン・ペナート」。これも「ツルツルした頭」という意味である。ハゲ頭か何かを想像したのだろうか。「牛の尻」にせよ「ハゲ頭」にせよ、大きな丸いものが出現したからといって、もう少し言いようはなかったものかと気になるところではある。
また、レザーを意味する「エル・クエロ」の名前で呼ばれることもある。こちらは未確認生物が滑らかな皮膚をしていることに由来するようだ。
さて、この未確認生物は1940年代から50年代にかけて活発に活動していたようで、近年の目撃証言はこの時期に集中している。大きな波を発生させる生物の影や、水面に姿を現した大きなコブなど、何らかの巨大生物が生息しているとみられる目撃証言がいくつか報告されている。
これらの証言や特徴的な呼称から、この未確認生物の正体を推測してみると、淡水性のイルカなどの海生哺乳類や大型の爬虫類だったのではないかと思われる。
しかし、近年はこの未確認生物の目撃証言もめっきり減っているという。ラカル湖は前述の通り国立公園内に存在しており、自然環境保全地域でもあるのだが、近隣の開発により水質汚染が進行し、環境が悪化して問題になっているのだという。
現地では観光地とされているものの、目撃証言が上がってこないのはもしかすると環境悪化の影響で絶滅してしまったからなのかもしれない。