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Channel: オカルト評論家 山口敏太郎のUMA図鑑
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【199】徳川家康の前に現れたUMA「肉人」

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肉人との類似性が指摘されているぬっぺっぽう

 慶長14(1609)年、妖怪「ぬっぺっぽう」に似たような人型の謎の生物が天下の徳川家康に会いに来たという事件があった。それは牧墨僊(まき・ぼくせん)によって記された「一宵話」の二巻に記載されている。

 4月4日朝、駿府城の中庭に、まるで肉塊のような人間「肉人」が出現した。手足はあるが指は分かれておらず、「天から来た」と言わんばかりにただ天を指して立っているのだ。

 奇妙としか言いようがない容姿。家来たちは大騒ぎになる。「あれは妖怪か!?」「こやつはどこぞの間者か?」と怪しんでいても、らちが明かない。捕まえようと飛びかかっても逃げられてしまう。

 騒動が大きくなったために、大御所である家康にも報告した。

 家康は肉人を見ていないため、「どこか、人目のつかぬところに追い払ってしまえ」と指示を出した。

 家臣たちも総出で言いつけ通りに肉人を追いかけ回し、城から追い出して裏山に追いやったのだ。しかし、この話には後日談がある。

 この話を聞いた薬に詳しい人物は「なんとも惜しいことをしたものだ。大御所様の周囲にいた家臣たちが、学がない者ばかりだったため、まれに見る仙薬を入手できないようになってしまった。この肉人は、『白沢図』に載っている『封』という存在であり、この肉を食べると滋養強壮になり、武勇も増したのに、まったくもったいない」と悔しそうに語ったそうだ。

 当時では例えようもなかったのだろうが、リトルグレイのような小型エイリアンだったかもしれない。奇妙な人間のような形をしているということしかわかっていない。

 現代でも宇宙人は権力者にコンタクトを求めるという説がある。ひょっとしたら、この時代に地球にやってきた宇宙人が時の権力者である徳川家康に、意図的に接触を図ってきた可能性は低くない。

【関連動画】Grey Alien Filmed By KGB

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【200】今もなお出没する「グロブスター」の歴史を振り返る

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セント・オーガスティン・モンスター

 記念すべき連載200回目のUMA図鑑のテーマはズバリこれ!

「グロブスター」

 第1回に取り扱ったUMAではあるが、いまだに新着情報があり、非常に面白い存在だと感じている。

 このグロブスターであるが、伝承や言い伝えに出てくるものでもなければ、都市伝説的に語られる手合いのUMAではない。フェイク画像か?おふざけか?と悩むこともなく、実際に写真も目撃証言も残っているものである。

 そして〝未確認〟な〝生物〟であることも含めて、まさに今の時代のUMAとしてふさわしい存在だと筆者は思っているのだ。

 簡単に概要を説明すると、突如、海岸に漂着する巨大な肉塊のことだ。体毛が生えていたり、もとの生物の原形をとどめていなかったりと、生物の死骸の一部であることは分かっても特定できていない場合が多い。

 動物学者のアイヴァン・サンダーソンが考案した造語で「グロテスク・ブロブ・モンスター(異様な肉や脂肪の塊の怪物)」を略したものである。太平洋、大西洋、インド洋…世界中の海岸で存在が確認されている。

 この名前が付けられたのは1962年のことだが、実際にもっと前のものが写真や記録に残っている。まずは1896年のもの。

「セント・オーガスティン・モンスター」の名で知られるこちらのグロブスターは、米国・フロリダ州にあるセント・オーガスティンの海岸に打ち上げられた。巨大なタコとして騒ぎになったが、おそらくマッコウクジラの脂肪ではないかとの調査結果になった。

 時は流れて1960年、オーストラリアのタスマニアで発見された「タスマニアン・グロブスター」。年代からも分かる通り、こちらがアイヴァン・サンダーソンにグロブスターと名付けられた物体だ。6本の腕のようなものがあり、白い体毛に覆われていた。

 1968年にはニュージーランドのギズボーン地区にあるムリワイビーチに漂着したものが「ニュージーランド・グロブスター」。その後も周辺でグロブスターが確認され、グロブスターの生息地があるのかもしれないと注目を集めた。

 バミューダ・トライアングルで有名な北大西洋でも1988年、1997年の2度、グロブスターが漂着。こちらもクジラの大量の脂肪ではないかと言われている。

 近年では2016年の3月にメキシコのアカプルコの海岸で、4メートルほどの白い毛のようなものに覆われた肉塊が発見された。これはSNSにもアップされて話題になった。

 前述のように「腕のようなものが確認された」個体もあるように、こちらはいくつかの穴があり、感覚器官なのではないかという指摘もある。そうだった場合、単体の生物だという可能性が高まる。

 今年に入るとフィリピンで6メートルほどのグロブスターが確認された。こちらの個体が今までのものと違う点は、血液のようなものが確認され、死骸としては比較的新鮮であることだ。

 鮮血が残っているということは、生前の形状に近い可能性が高く、グロブスターという固有の生物と仮定した場合、グロブスターの正体解明に近づく大きな一歩となる。

 海洋にはまだ謎が多く、地球上でも神秘性を強く有した領域である。この不気味な肉塊も新たな生物の発見となったとしたら非常に面白い。今後も注目していきたい分野である。

【関連動画】Whale Carcass Found In Dinagat Islands, Philippines

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【201】絶えぬ目撃談!「ニホンオオカミ」は生存しているのか?

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「月百姿」に描かれた豊原統秋とオオカミの伝承

 絶滅した生物として有名な「ニホンオオカミ」だが、いまだに生存説は根強い。そこには我が国の生物としてロマンがあるが、実際に目撃証言があり、存在そのものがミステリーとなっている。

 1905年、明治時代に奈良県で捕獲された個体が最後のニホンオオカミの生息情報で、こちらは標本として現存している。そして環境省によって「過去50年間生存の確認がなされない」として絶滅種になっている。

 2003年には「1910年の福井城址にあった農業試験場で撲殺されたイヌ科の動物がニホンオオカミであった」との論文が発表された。しかし、記述のみなので実在したのか確証が取れていない。

 2014年の11月26日、埼玉県秩父市の鍾乳洞から、ニホンオオカミと思われる歯一本が見つかった、と各ニュース媒体で報じられた。

 秩父市では1996年にもニホンオオカミに非常に酷似したオオカミの姿が写真に収められている。この写真、専門家による鑑定でもニホンオオカミの特徴が見られるという意見が多いそうだ。

 このミステリアスな存在を「神獣」などと持ち上げる向きもある。実際に日本ではニホンオオカミを含むオオカミは「お犬様」「大口の真神(まかみ)」と言われ、信仰の対象にもなっていた。

 秩父市には三峯神社があり、そこでもニホンオオカミを「神の使者」としてまつってきた。オオカミ信仰の深い地域なのである。

 信仰があるというのは決して迷信のようなものだけでなく、その地にその生物が生存し、住人に親しみがあったという可能性が高い。

 絶滅したと言われた後もニホンオオカミによく似たオオカミの目撃証言、遠ぼえを聞いたという話は広く伝わっており、個人や団体を含めた多くの人々が調査を行っている。東京都青梅市、紀伊半島、四国などにも目撃の証言が残っているという話もある。

 残念なことに捕獲には至っておらず、見間違いも多く、生存説の確証には至っていない。正確な資料がないために生態に不明な点が多いニホンオオカミだが、秩父市での歯の発見が手がかりになるだろう。

【関連動画】幻のニホンオオカミを追いつづける男

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【202】災いの前兆として現れる人面牛妖怪「件」の正体

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 日本には古くから人面を持つ牛の妖怪「件(くだん)」の話がある。この妖怪が生まれると大きな厄災、天変地異や流行病などが起きると言われているのだ。件は人語を話し、厄災を予言すると死ぬという伝承もある。

 こういった未確認生物、幻獣、妖怪の類いは「予言獣」とも言い、他には巨大な人魚の形をした「神社姫」、半人半魚の「アマビエ」などがいる。

 件は実際に1836年の「天保の大飢饉」や1923年の「関東大震災」の際に現れたという伝承がある。今回は実際に予言を的中させたとされている、件の新聞記事を元に紹介しよう。

 この写真は子牛の体に白い人間らしき顔面がベッタリと張り付いたもので、一見して不気味なものである。言い伝えにある件の容姿と不気味なオーラ、それを持ち合わせているように感じるのではないだろうか。

 これは長崎県の農家で生まれたという件の剥製の写真で、明治42(1909)年に「名古屋新聞」で紹介されたものと伝わっている。

 記事によると、明治37年に生まれ、生後31日目に「日本は露西亜(ロシア)と戦争をする」と、同年に開戦した日露戦争を予言して死んでいったというのだ。

 その後、剥製にされて、長崎の八尋博物館に陳列されたとの記述があるのだが、博物館の閉鎖とともに消失しているようで、現存していない。もちろん、どこかに保管されているのかもしれない。

 写真からこの剥製の真偽は断定できないが、作り物の可能性がないわけではない。もしフェイクミイラだと仮定すれば、この異様な容姿、鬼気迫るような表情は製作者の情念が込められているように感じる。世相や時流を読んだ製作者が何かを訴えるために作ったとは考えられないだろうか。

 実際に件そのものをただの創作物と片付けるよりも、その正体は奇形で生まれた子牛だったのではないかという説もある。件自体は「普通の牛から生まれてくる」という性質を持ち、奇形の子牛も短命であることが多く、符合する。

 気味が悪く印象も強いために奇形の子牛が人々の記憶に残り、その年に起きた不幸な出来事と結びつけて考えたために「件伝説」の下地が生み出された。それが広まっていったのではないかと考えられている。

【関連動画】Dead Mermaid Found In River Vladaya, Bulgaria

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【203】伝説の生き物「フープスネーク」はなぜ民間伝承として語り継がれたのか

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古代ギリシャ神話のウロボロス

「フープスネーク」またの名を「スネーク・オブ・ホイール」——。米国やカナダ、そしてオーストラリアなどの比較的歴史の浅い国で民間伝承として語り継がれる生き物である。

 その名の通り、輪になっているヘビだ。何も胴体が途中で2つに分かれて輪になっているわけではなく、尾をくわえてフラフープのように輪っか状になるヘビのことだ。

 いかにもありえそうな、よく考えるとなさそうな、都市伝説的な生態のヘビである。現在でもフープスネークが実在するか否か「見た」「いや、あり得ない」といった論争が繰り広げられる存在なのだ。

 フープスネークが輪っか状になるのには理由がある。それは転がって高速移動するためだ。獲物を捕まえる時、また天敵から逃げる時に輪っかになって傾斜を転がるのだという。

 傾斜、それも下方向に移動したい場合のみの生態とは考えられないので、実在するとしたらウロコを動かすなどして転がる勢いをつけるのだろうか。また、体を大きく見せて威嚇する可能性も考えられる。

 輪っか状の生物が高速で移動してきたら天敵などは驚くのではないだろうか。逃亡するための機能としては効率的にも思える。

 体色は鮮やかで、毒を持ち、性格も獰猛という説もあるが、体色に関しては他の生物を威嚇するためのもので、逃げやすいという性質を助けるかもしれない。

 このフープスネークから逃れるために人間が考え出した手段は「輪をくぐり抜ける」だ。

 これはいかにも都市伝説というか空想の産物といった感じがするが、回転を利用して移動するからとっさに反対方向に転換できないなどと、もっともらしい理由もあるのだ。

 米国やオーストラリアといった土地で開拓が進んでいなかった時代、その広大な自然に対峙した人間が、自分が体験した理解不能な事象などを説明するために恐ろしい生物「フィアサム・クリッター(見るも恐ろしい生物)」を生み出していった。

 フープスネークはそんなフィアサム・クリッターのうちの一つである。現在は生物学的には存在し得ないという説のほうが支持されている。

 開拓者たちが恐ろしかった体験を怪物に置き換え、それが民間伝承として広がり、神話のなかった国に根づいていったのだ。

【関連動画】Weird Snake Goes Crazy And Kills Itself

https://www.youtube.com/watch?v=3wU-mSfpVUY

 

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【204】アラスカの湖に潜む怪物「イリー」

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シロチョウザメのイラスト

 米国の最北端アラスカ州の南西部にある、四国と同程度の大きさのイリアムナ湖。同州で最大、米国内でも最大級の湖だ。北をレイク・クラーク国立公園、南をカットマイ国立公園に挟まれた非常に自然豊かな土地である。

 イリアムナ湖に流れてくるニューヘレン川はサケの遡上や漁で有名で、観光客も多い一方で、鉱山による汚染が危惧される土地でもある。

 この湖には、白人が移り住んでくる前からネーティブアメリカンの間で存在がささやかれてきた怪物がいる。それが今回紹介する「イリアムナ湖の怪物」こと「イリー」だ。

 ネーティブアメリカンの間で呼ばれていた名前は「ゴナカデ」。魚の神のような存在で今も絵として伝わっている。

 イリーの大きさは3メートルから9メートルと言われ、かなり開きがあるのは、はっきりとした存在ではないからだろう。もし、この大きさが本当だとすれば、子供の時は体が小さく、成長の過程で9メートルになることが考えられる。

 体形は細長く、体色はアルミニウムのような黒灰色。大蛇や巨大ウナギのようなものを想像させるが、そうとも断定できないらしい。

 そもそもネーティブアメリカンの伝説上の精霊のような存在として、イリアムナ湖の怪物がいるということだったのだが、決定的とも言える目撃情報が出たのだ。

 時は1963年、この湖の上空を動物学者たちがヘリコプターで飛行していた。目的は湖の調査である。彼らが湖の中に大きな怪物の影を見つけた。大きさは9メートルほど、影のままの状態で水面に体の一部を出すことはなかったという。

 それまでも目撃談はしばしばあったものの、この目撃談では長時間にわたって存在が確認されたため信ぴょう性の高いものとなったのである。

 1979年にはアラスカの新聞社がこの怪物の存在を証明できる決定的な証拠の提供者に10万ドルの賞金を出すと発表したが、いまだに賞金を獲得した者はいないようだ。

 その後も1970〜80年代にも数件の目撃はある。原始的なクジラである「ゼウグロドン」の生き残り説、巨大化したイリアムナアザラシ説、アラスカに生息するシロチョウザメ説などが有力だ。

 信ぴょう性が高いと思われているのか、近年もテレビの科学ドキュメンタリー番組で特集が組まれているようだ。

【関連動画】Iliamna Lake – A Land Worth Preserving

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【205】伝説の一角獣「ユニコーン」は存在した!?

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ザンピエーリが描いた「処女とユニコーン」

「ユニコーン」といえば誰もが知っている幻獣、想像上の動物のひとつで、一角獣の名の通り頭部から一本の鋭いツノが生えた馬である。日本では馬となっているが、尾はライオン、アゴヒゲは山羊、二つに割れたヒヅメを持つとも言われる。様々な哺乳類の集合体である。

 その姿は美しく、白い体に紺色の目を持っている。野生の生物の恐ろしさを象徴させたかのような幻獣が多い中、馬を基調としたユニコーンとペガサスには神秘的な美を感じる人も多いことだろう。

 しかし、性格はいたってどう猛。攻撃的であり、とがったツノと走る速度を生かして、どんな相手にも立ち向かうと伝わっている。ユニコーンの生態として、岩でツノを研いでとがらせているという記述もあるのだ。

 神話の中では水に関する不思議な能力を持っている。水を浄化して病気を治療すると言われており、攻撃性と相反する二面性のある未確認生物である。ユニコーンは毒の力もあり、ツノは解毒や解熱の薬になると信じられてきた。

 また、ユニコーンは処女を好むところから、いわゆる“処女厨(※厨は厨房の略で、中学生の坊主のような幼稚な考えをする人をやゆするネットスラング。処女好きの意味)”のことを「ユニコーン系男子」などと呼ぶ向きもあった。見た目が良く、高学歴高収入、そして処女厨である、と。

 そんな、長く広く親しまれている幻獣のユニコーンであるが、これもまた実在したような形跡があるのだ。

 近年では遺伝子操作によって生物にツノを生やすことは可能で、1980年代には一角のヤギを生み出すことに成功した。そのほかにも2007年にはユニコーンのミイラと言われる物体が発見され、画像と動画に残されている。

 撮影された時期は不明なのだが、ユーチューブには馬に交じってユニコーンらしきツノの生えた白い馬が牧草を食べている動画がある。遠目の映像のため細かいところまでは分からないが他の馬より一回り体が大きいようだ。

 現在、人間の手によってユニコーンが製造されてはいない。しかし、奇形種としてツノの生えた馬や一角のヤギは生まれることがある。

 物語に登場する伝説上の生き物として有名なユニコーンだが、実は今、もっとも実在に近い未確認生物なのかもしれない。

【関連動画】Real Unicorn sighting in England

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https://www.youtube.com/watch?v=WgxkN37RIJM

【206】放屁で狩りをするマダガスカルの「ボキボキ」

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1848年に描かれたホソスジマングースのイラスト

 世界で4番目に大きな島であるマダガスカル。日本の1・5倍の面積で、アフリカ大陸の南東の西インド洋に浮かぶ、独自の生態系を持つ島だ。

 マダガスカルはゴンドワナ大陸(先史時代にあったとされるアフリカ大陸、南アメリカ大陸、インド亜大陸、南極大陸、オーストラリア大陸を含む超大陸)が分裂する際に、アフリカ大陸とインド亜大陸から分かれた。

 そのため、他の大陸や島との生物の行き来が少なく、現在も野生生物種の90%以上が固有種なのである。マダガスカルが「第8の大陸」と言われるゆえんでもある。

 マダガスカルでは今でも新種の生物が発見されることが多い。1999年から2010年の間に発見された新種の生物は615種、うち哺乳類が41種もいたのである。

 今年2月にはマダガスカルにすむ大きめのウロコを持つヤモリが、緊急時にはウロコを脱いで逃げる新種が話題になった。

 そんなマダガスカルなので未確認生物の目撃も実際にある。この「ボキボキ」という面白い名前を持つ哺乳類らしき動物も、そのひとつである。

 ボキボキはタヌキ、ジャッカルのようなイヌ科、もしくはマングースやミーアキャットのようなネコ科の動物に似ていると言われている。ネコ程度の大きさ、広めの顔、大きな耳を持ち、南マダガスカルに生息しているようだ。

 1998年に刊行されたデヴィッド・A・バーニーという生物学者と、ラミリソニナという考古学者の報告が確認されているという。このボキボキは肛門から悪臭を放ち、ヘビやネズミを狩るとも言われており、スカンクに近い生物なのではないかと予想される。

 マダガスカルにはホソスジマングースというマングースの一種が生息しており、これが肛門や生殖器のあたりに臭腺を持っているのである。ただし耳は小さい。体長25〜35センチ、尾長が20〜27センチで、ネコと見間違える可能性はある。

 ホソスジマングースは肉食で、マダガスカル西部から南西部にかけて生息している。このホソスジマングースに近い種か、ホソスジマングースに他の動物の目撃例が交ざって、ボキボキは生まれたのかもしれない。

 現在は人口の増加と、それに伴う環境破壊によって自然が大きく失われてきている。サファイアの採掘や家畜の放し飼いなどが問題になっている。前述のマダガスカルで発見された新種の生物も多くはすでに絶滅の危機に瀕している。

 本来、存在しているはずの生物が未確認生物になってしまうのは、人間の環境破壊によるものもあるのだろう。

【関連動画】動画はマダガスカルジャコウネコ Fanaloka (Fossa fossana) footage Rare Species Conservation Centre

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【207】タイムスリップしてきた古生物か?「ディーンの獣」

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ゴルゴノプスの化石

 英国・グロスターシャー州で伝説として語られている未確認生物が「ディーンの獣」である。残念ながら書物など文書になっている記録は残っていない。

「ディーンの獣」が出現したのは「ハリー・ポッター」シリーズでも有名なディーンの森。イングランドの南西部に位置するグロスターシャーにあり、王族の狩猟場でもあった。ディーンの森は広大な古代森林で神秘的な観光スポットだ。

 イノシシのような頭を持つが、体は非常に大きく、ヘラジカほどの大きさだったという。ヘラジカはだいたい体長が2・4〜3・1メートル、体高は1・4〜2・3メートルもある。この見た目から「ムース・ピッグ」とも呼ばれている。ムースとはヘラジカのことだ。

「ディーンの獣」が最初に認識されたのは1802年のこと。森から聞こえる轟音によって付近の住人は悩まされていた。その後、森の中で樹木はなぎ倒され、人の作ったフェンスも破壊された形跡があり、時には「ディーンの獣」と思われる轟音が響いた。

 パーケンドという村の住人が獣を捕獲、殺害しようとしたが、結局何も見つからなかった。1807年3月を最後に獣のものと思われる轟音や森の傷痕はなくなってしまう。

 この発見されなかった獣の容姿がなぜ判明したかというと、1998年に今度は目撃されたからだ。地元の2人の住人がディーンの森で低いうなり声のようなものが聞こえた後に、葉が揺れる音を聞いた。音の方を見てみると大きな生物の影があったのだという。走って逃げた2人は森を抜け、明るい道路に出ると「この世のものとは思えない」と言った。

 ちなみに英国ではイノシシは狩りの対象として好まれ、13世紀には絶滅してしまう。どう猛で人間にも危害を加えるイノシシは英国では“悪い動物”というイメージが定着している。その後もフランスから輸入され、野生化して絶滅、これを繰り返しているため、正確な絶滅の時期は判明していないそうだ。

 こうして英国中で有名になった「ディーンの獣」はSFドラマ「プライミーバル」の中でペルム紀(今から2億9900万年〜2億5100万年前)からタイムスリップしてきたゴルゴノプスだと結論づけられるに至った。

 ゴルゴノプスは全長2〜4メートルほどの、四足歩行の恐竜である。体毛で体温を保持したとも言われ、哺乳類と見間違える可能性もある。

 1998年の目撃例に関しては、輸入されたイノシシが野生化し、その影が大きく見えたり誇張されたのだと思うのだがいかがだろうか。

【関連動画】Trapped moose running past us

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【208】インド神話に登場する象頭の怪魚「マカラ」

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台座のようなものがマカラ

「マカラ」はインド神話に登場する想像上の動物の一種だ。象の頭を持つ魚として一般的に知られているが、大きな魚であったり、イルカのようであったり、ワニのような生き物であったり、水辺に生息していそうな容姿をしている。

 このマカラは古代インドの最高神のひとり、水をつかさどるヴァルナの乗り物でもある。また、ガンジス川の女神であるガンガーもマカラを乗り物にしている。他にも愛の神カーマはマカラを旗印にしている。

 マカラはインドや東南アジアで建築物の装飾として頻繁に見られるが、これは魔よけとしてデザインされているようである。中国に渡った際には「摩伽羅魚」「摩竭魚(まかつぎょ)」と漢訳されるようになった。

 起源ははっきりしていないが、古代ギリシャの占星術で山羊座・カプリコーンのことを漢字で「磨羯宮(まかつきゅう)」と書く。カプリコーンは上半身がヤギで下半身が魚の幻獣である。古代ギリシャと古代インドの占星術が相互に影響し合っていたことを想像させる。

 ところでこのマカラ、未確認生物と言うよりは神話に出てくる幻獣のたぐいと言った方がいいかもしれないが、近年になってもインド沖で目撃情報がある。残念ながら写真や動画で撮影されてはいないのだが、たびたび目撃されているようである。

 しかし、マカラの容姿は前述の通り「頭が象」の魚として広く知られている。たとえば、遠巻きに見て、地上の動物が海に入っていたとして、その体まで目視できるだろうか?

 実際のところ、沖まで流された象を見間違えたという説が濃厚である。海面から頭部を出した象を見たら、信仰深い人であればマカラが実在したと考えてしまう可能性はある。実際に象が流されて沖まで到達してしまう事案は起きている。

 1920年代、南アフリカ沖では象のような鼻を持った巨大な海洋生物が目撃され、その死体が浜辺に漂着した。死体は放置され、次第にまた流されてしまった。

 この生物は「トランコ」と名付けられ、今でも未知の生物として物議を醸している。実はトランコとマカラがなんらかの関連があり、古代から生き続けている哺乳類の一種だった可能性はないだろうか。

 トランコの再出現がマカラの存在を確定するかもしれない。

【関連動画】Paranormal Logs Trunko

https://www.youtube.com/watch?v=5j2BP4Ux-64

【209】地中海キプロス版ネッシー「アヤナパの怪物」の正体

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ジョン・スミス・モファットの本に描かれていたアヤナパの怪物

 地中海の東側、トルコの南に浮かぶキプロス島は時代によって、その時の大きな国家の支配下に置かれた島である。そのため現在も島内はギリシャ系のキプロス共和国、北キプロス・トルコ共和国、イギリス領、それに境目になっているグリーンラインには国連キプロス平和維持軍が駐留している。

 島としては地中海でも3番目に大きく、自然にも文化遺産にも恵まれているため、観光地としても有名である。そのキプロス共和国の最東端にあるのがアヤナパだ。白い砂浜と青い海のビーチリゾートがある。

 ギリシャとトルコの紛争はあったが、どちらの文化も融合され、絶景が望める地なのだ。そのアヤナパのグレコ岬では昔から目撃される未確認生物がいる。

 地元の漁師たちの間では古くから知られた存在で、友好的な怪物だと思われていた。もともとの民間伝承や数多くの目撃情報がある程度で、その存在は確定されていない。

 容姿は「キプロスのネッシー」と言われるように、大きなヘビ、ワニ、首長竜のような形をしているようだ。

 1977年には水面から首をのぞかせた首長竜のような写真が撮られているようだ。また2008年にはキプロスのダムにある貯水池がアヤナパの怪物のすみかになっているという情報もあった。

 ギリシャの長編叙事詩「オデュッセイア」には「スキュラ」という怪物がいる。人間の女性の上半身に魚の下半身、腹からは6つの犬の頭が生えている。

 このスキュラは後年、下半身がタコの足のようであったり、またヘビの頭が何本も生えているような容姿に変わってきている。アヤナパの怪物はこのスキュラの子孫ではないかとも言われ、今でも観光の宣伝文句になっているのだ。

 実際のところ、ペットとして飼われていたワニが逃がされたものを誤認したのではないかという説がある。

【動画】AYIA NAPA – Sea Nymph of sun and blue

【210】引き抜かれる際の悲鳴で命を奪う植物「マンドラゴラ」

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1474年の「健康全書」に描かれたマンドラゴラ

「マンドラゴラ」は根茎が人間の姿のようにも見える植物で、引き抜くときに悲鳴を上げると言われている。この悲鳴を聞いた人は死んでしまう、または正気ではなくなるという伝説が残されている。

 マンドラゴラを収穫するときには人間は耳栓をして、犬や牛馬をひもでマンドラゴラにつないで抜いたとの話もある。なぜそんな恐ろしい植物を収穫する必要があるのかというと、精力剤であり、媚薬であり、不老不死の薬の原料だとも言われているからだ。

 このマンドラゴラ、別名は「マンドレイク」と言い、実在するナス科マンドラゴラ属の植物だ。このマンドレイクそのものがやはり黒魔術に使われる原料として知られている。

 魔術や錬金術の原料として魔術書や錬金術本にも頻繁に登場し、マンドラゴラと言われる怪しい植物が高価で売買された歴史がある。

 食べた者には幻覚が見えたり、幻聴が聞こえたりすると伝わり、劇薬のように扱われた。ヨーロッパの民話にはよく登場するが、魔法使いや魔女だけではなく一般市民にもよく知られている存在だ。

 実際にマンドラゴラは幻覚、幻聴、死に至る神経毒を持っている。また、細かい根を張るので引っこ抜くのに力が必要で、その際に大きな声が出る。それが言い伝えの中で「声を聞くと正気ではなくなる」と変化しているのは面白い。

 基本的に森の奥の太陽の光がささないような場所に自生するとされている。また、死刑囚が絞首刑になった場所に生えるという説もある。男のマンドラゴラと、女のマンドラゴラの2種類があるという説もあるほど、実在しながらも不可思議に話が広がっている。

 マンドラゴラは完全に熟すると地面から自力で這い出し、人間の足のように二股に分かれた根で歩き回る。ゴブリンやコボルトのように醜い姿だという言い伝えもある。

 実際のマンドラゴラは地中海から中国西部にかけて自生する。鎮痛剤や鎮静剤、下剤として使用されたのだが、前述の通り毒性も強い。さらに人のような形状をした固体も多く、毒の危険性と合わさって、未確認生物として誇張された存在になったのではないだろうか。

【関連動画】Creepy plant mutation like male and female

【211】蛇の王…毒を持つ悪魔の象徴「バジリスク」

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大プリニウスの「博物誌」に描かれたバジリスク

「バジリスク」——アニメのタイトルになっていたり、テレビゲームのモンスターとして登場するため、名前を知っている人は多いだろう。ヨーロッパでは古くから広く知られている幻獣の類いである。

 どのような生物かというと、冠のようなトサカを持ったヘビ(一説によるとヤマカガシに近い)で、バジリスクが移動する音を聞くと、それを聞いたヘビたちは逃げ出すのだ。バジリスクという言葉はギリシャ語で「小さな王」を意味し、ヘビの王と呼ばれるのも納得の力である。

 ヘビの髪を持ち、見る者を石にする怪物、あの有名なメデューサが殺された際に飛び散った血から生まれたとも言われ、バジリスクの持つ能力は猛毒なのだ。

 バジリスクの毒は普通のヘビのものとは危険度がケタ違いだ。バジリスクは全身に毒を持ち、歩いた跡の草木が枯れ、バジリスクが水を飲むと、その川の水すべてが毒になる。毒のニオイだけで他のヘビを殺す、毒の強さで石を砕く、見るだけで殺す、など危険なエピソードは枚挙にいとまがない。

 弱点はイタチに弱いとされている。イタチにはバジリスクの毒が効かないらしいのだが、そもそもイタチはヘビにとって天敵である。非常にヘビらしい一面も持っているのだ。ヘンルーダという薬草はバジリスクの毒を打ち消す力があり、イタチはこのヘンルーダを持っているという説もある。

 バジリスクについての最も古い記述は、大プリニウスが著した古代ローマの「博物誌」。自然科学について幅広く扱った本書は幻獣などの記述も多く、後の幻想文学にも大きな影響を与えた。

 容姿は前述の通りトサカを持つヘビで、コブラを見た人たちの間で話が膨らんでいったのではないかと想像させる。しかし、現在はかなり多様な姿で描写される幻獣になっている。トカゲであったりムカデであったり、「ハリー・ポッター」シリーズの影響で大蛇のイメージも強いかもしれない。

 そもそも中世ヨーロッパにおいては「コカトリス」と混同されたというか、同一視されていった経緯がある。コカトリスは雄鶏(おんどり)とヘビを合体させたような特徴の幻獣で、元は人の血を吸って時間をかけて殺すという性質を持っていた。その後、コカトリスをやりで刺すと毒がやりを伝って人を殺すなど、バジリスクらしい性質を持つようになっていった。

 バジリスクには「雄鶏の鳴き声に弱い」という話もあったのだが、これがいい加減に伝わり誤解を生んで、逆に同一視される原因になったのではないかとも言われている。

 現在、グリーンバシリスク、ノギハラバシリスクなど「バシリスク属」に属する実在の生物がいる。イグアナなどに近い爬虫類の一種で、トサカは持っているが、毒は持っていない。短距離であれば水上を走ることで有名である。

 麒麟という幻獣がキリンに当てはめられたり、獅子がライオンに当てはめられていったように、バジリスクも容姿の類似性から現実の生物に当てはめられて、この世に誕生したのである。

【関連動画】One Life – Jesus Christ lizard – Basiliscus plumifrons – French / Francais

【212】英国に古くから伝わる水馬の系譜「プーカ」

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古代ローマで描かれた水馬のイラスト

 アイルランドやスコットランドの伝承、ケルトの神話や民話には「水馬」と言われる幻獣がいくつか登場する。名前が表す通り「水辺にすむ馬の特徴を持った幻獣」である。

 容姿は馬そのものであったり、下半身が水棲に適したウミヘビのような形態になっているものもある。ペガサスやユニコーンほど有名ではないが、やはりヨーロッパでは馬という生物が身近な存在だったことを感じさせる。

 中でも「ケルピー」は有名な方ではないだろうか。ケルピーは黒か灰色か栗毛色の馬で、美しい姿で人間を引きつけて、人間を背中に乗せると川に潜り溺死させ、その死体を食うと言われている。

 姿を変えることが得意で、人間の気を引くためにさまざまな人間の姿になれるようだ。ただし、タテガミや髪の毛に水草を絡ませているために正体がバレやすいらしい。

「アハ・イシュケ」はスコットランドのハイランド地方の海や塩水湖にすみ、ケルピーと同じように人間を背中に乗せて入水し、やはり食べてしまう。アハ・イシュケがケルピーよりもタチが悪いのは、背中が粘着性になっていてまたがった人間が逃げられないようになっている点である。

 他にも「ナッグル」「シューピルティー」「タンギ」「カーヴァル・ウシュタ」など水棲型の幻獣は地方によって存在するようだ。

「プーカ」もそんな水馬の一種で、アイルランドの南端に近いアビスデリー湖近辺に伝わる妖精だ。黒い馬の姿をしているとか四肢は水かきになっているなどと身体的特徴に関してはあやふやだが、やはり変身能力があって若い牡馬の姿で人間に近づくことが多い。

 このプーカはワシや黒ヤギ、牡牛にも姿を変えることが可能だが、耳の形だけは馬のままだそうだ。人の姿になっても耳が馬であれば気づきやすいだろう。

 農家の柵が壊されたり、家畜を殺したり、旅人を連れ去ったり、悪さの象徴のように言われる一方で、穀物をひいて粉にしてくれるなど善行の逸話も残っている。

 アビスデリー湖では1800年代から1900年代初頭にかけて、大蛇のような大きな謎の生き物が目撃された。しかし、アイルランドにはヘビが生息していないため、この生物の正体はプーカだったのではないかと噂されている。

 アイルランドの湖では巨大UMA「ウマウナギ」の目撃談も多く、プーカの実在についてはいまだに解明できていない。

【動画】Top 5 Loch Ness Monster Sightings

【213】金属を食う怪物として伝承されてきた「パンダ」

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かつてパンダは伝承上の生物のような扱いだった

 今年の6月12日、上野動物園でジャイアントパンダのシンシンが出産した。この「5年ぶりに上野動物園でパンダが生まれた」というニュースは大々的に報道され、日本国民を大いに喜ばせている。

 7月に入ってからのニュースでは赤ちゃんはすっかり白と黒のパンダカラーになっていて、愛くるしい姿を見せている。しかし、このパンダはかつて未確認生物UMAというか、伝承上の生物のような扱いだったことをご存じだろうか。

 パンダといえば中国。中国での表記は「熊猫」。ジャイアントパンダは大熊猫。「パンダ」という言葉の語源はネパール語で竹を意味する「ポンヤ」に由来し「竹を食べる者」とする説が有力だが実際のところははっきりとしていない。

 未確認生物のような存在といっても、それは西洋的な視点であって現地の人たちの間では目撃されていた。古い文献では秦の時代の辞書「爾雅」に「獏(バク)」として、「白黒模様の竹を食べるクマのような生物」の記述がある。

 本来、バクは夢を食べる想像上の動物であり、やはり現代において「バクっぽい見た目なのではないか」ということで、白と黒の模様を持った哺乳類に「バク」の名が付けられている。パンダにも同じように、この想像上の動物が当てはめられて呼ばれていた可能性がある。

 また、バクは「鉄を食べる動物」としても伝わっている。「竹のような硬いものを食べるんだから鉄も…」と考えたあなた、ご名答である。

 これはパンダが竹を食べるところから、連想されたのではないかと言われている。当時は矢が竹でできていたため、パンダは矢を食べる生き物というように変わり、矢が金属で作られるようになってからも「矢を食べる」という伝承が残ったと思われる。

 この「金属を食べる」という面白い性質が取り上げられ、誇張されて、後の世でパンダは鉄を食べる生物として広まっていったのだ。

 この見た目も伝承も不可思議な動物、欧米人に発見されたのは1869年で、博物学者でもあるフランス人宣教師のアルマン・ダヴィドが四川省で毛皮を見たことによる。

 白黒の珍奇な見た目の生物はヨーロッパでは信じてもらえなかったが、アルマン・ダヴィドがパリの国立自然史博物館にパンダの毛皮と骨を送ったために存在が広まった。

 現在では未確認生物ではなくなってしまったが、中国の伝承に、このあまりに特徴的な容姿が重なって「謎の生物」として広まったことは納得がいく。唯一無二の見た目だからこそ、今もこんなに愛されているのである。

【関連動画】Elusive Giant Panda | National Geographic

https://www.youtube.com/watch?v=9YkrojbbwiA


【214】人類の禁忌の技術「人造人間・ホムンクルス」

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ホムンクルスの伝説を元に創作された現代作家の作品

 人間が人間の手で作り出す生命体「ホムンクルス」。さまざまな映画やマンガ、ゲームで題材になることも多く、たくさんの人に知られた存在であろう。

 それはただの怪物であったり、人工生命であるがゆえの苦悩が描かれたり、人間が人間の手で生命を創造することへの倫理観や、生命そのものへの議論が行われたりする。

 そんなホムンクルスもかつて作製に成功したと言われているのはご存じだろうか。

 時は16世紀。医学者で錬金術師のパラケルスス、本名テオフラストゥス・フォン・ホーエンハイムによって人工生命は誕生したと伝えられている。

 パラケルススは決して神秘主義一辺倒の人物ではなく、金属の化合物を薬品に初めて使用した人物で「医化学の祖」とも言われているのだ。また、錬金術も「金などの貴金属を作る」という大本の考えよりも、医薬品を作ることを主張した。

 このパラケルススがホムンクルスを生成させた方法は、フラスコの中に精液を入れ、40日間密閉し、腐敗させるというもの。次第に透明で人間の形をしたものが生じるとされている。

 フラスコの中には精液だけでなく、数種類のハーブと便や血液を加えるという説もある。それに毎日、人間の血液を加え、ウマの胎内と同じ温度に保った状態でさらに40週間保存していく。

 そうするとフラスコの中の人間の形をしたものは、本物の子供と同様の姿に変化していくというのだが、やはり器の大きさに左右されるのか、人間よりも小さいものだったらしい。

 ホムンクルスという言葉がラテン語で「小さい人」を指すというのも納得である。フラスコの中でしか生きていられないとも言われ、実在したとしても非常に弱い生命体であったのではないだろうか。

 しかし、ホムンクルスは生まれたばかりにもかかわらず、万物に関する知識や世界の真理を身につけており、パラケルススたち、人間の質問に対して何でも答えたとも伝わっている。

 このホムンクルスの生成に成功したのは、製法を記録しているパラケルスス以外にはいない。パラケルススにはにわかには信じがたい「悪魔使いであった」という噂が後世にも伝わり、どれが本当のことか分かっていない。

 筆者はこのホムンクルスは当時のクローン人間のような存在だったのではないかと考えている。

 キリスト教では神の領域に踏み込む実験として「禁忌」とされている。現在もキリスト教的な視点だけではなく、生命倫理の視点からも様々な問題点が議論されている。

 それまでのタブーや常識に挑戦し、新たな医学の研究をしてきたパラケルスス。ホムンクルスも倫理の聖域に挑む研究だったと感じるが、その一方でこうした姿勢が科学を発展させてきた側面もある。非常に難しい問題だ。

【動画】Как сделать гомункула (Homunculus)

【215】テキサスに現れたチュパカブラ?「エルメンドルフ・ビースト」

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重度の疥癬によって体毛の抜けたコヨーテ

 中南米を中心に目撃される未確認生物で、近年も大人気の「チュパカブラ」は、ヤギなどの家畜を襲うことで有名な吸血UMAだ。

 その容姿はサルのようなコウモリのようなイヌのようなカンガルーのような特徴を持っていて、UFOの目撃談とも親和性が高く、エイリアン説も出ている。

 最初の目撃談は1995年にカリブ海に浮かぶプエルトリコだった。以後、目撃談はそれぞれに特徴や状況が違い、現在の主流はイヌに近い四足歩行の姿である。チュパカブラという言葉は「ヤギの血を吸う者」という意味で、その定義は広がっているのかもしれない。

 2004年には米国・テキサス州にあるエルメンドルフでチュパカブラに似た生物が目撃され、射殺された。

 奇妙な生物を撃ち殺したのは同地で牧場を経営するデヴィン・マキャナリー氏。ちょうど、その時期にニワトリなどの家畜が襲われていて「警戒していた」と語っている。

 その生物は毛が生えておらず、青黒い肌をしていた。重さは20ポンド(約9キログラム)ほど。マキャナリー氏はすぐにチュパカブラのことが頭をよぎったという。15年間、牧場を経営してきた中でも初めて見る生物で、見つけた時には木の下で何かの実を食べていたところだった。

 この生物は「エルメンドルフ・ビースト」と呼ばれるようになり、近くのサンアントニオ動物園に勤務する動物の専門家たちですら、すぐには特定できなかった。

 彼らの調査によって頭蓋骨からメキシコに生息する毛のないイヌ=「メキシカン・ヘアレス・ドッグ」ではないかと、いったん決着はついた。この結論は正解ではなかったが、イヌ科の動物らしいという大きなヒントを得たのだ。

 ちなみにジャパンケンネルクラブによるとメキシカン・ヘアレス・ドッグは2011年から「ショロイツクインツレ」と犬種名を変更し、親しまれている。

 エルメンドルフ・ビーストはカリフォルニア大学で行われた分析によって、先天性で体毛がない生物ではなく、膵炎にかかったコヨーテであるとされた。

 テキサス州で同じような動物の死体が2例発見され、こちらは重い疥癬(かいせん=ヒゼンダニの寄生による皮膚感染症)を患っているコヨーテだと判明したのだ。これによって近年のチュパカブラもコヨーテの誤認説が主流となっていく。

 コヨーテの疥癬は重度になりやすい。疥癬の原因であるヒゼンダニに寄生されると、コヨーテは体毛が抜け落ちるだけでなく皮膚も分厚くなり悪臭を放つようになる。

 また、体も弱るために野生の動物を捕まえるよりも家畜の方が襲いやすくなる。外見だけでなくチュパカブラの生態とも符合する結論となった。

 チュパカブラという未確認生物はまだ解明されてはいないが、あまりに多い目撃例の中には科学的に説明がつくものもある。

 人間の先入観によって作り上げられた未確認生物像もある一方で、判明していない未確認生物も存在する。真実を知ることで未確認生物のロマンスは、よりクッキリと浮かび上がるのだ。

【動画】Elmendorf Beast

【216】絶滅危惧種ウナギの不思議な幼体「レプトケファルス」

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レプトケファルスのイラスト

 今年の土用の丑の日は7月25日と8月6日だが、ここ何年か、土用の丑の日に絶滅危惧種のウナギを食べていいものなのかと疑問を呈する声が上がっている。

 ウナギは万葉の時代から滋養強壮の食材としてタンパク質はもちろん、ビタミン類、特にビタミンAが豊富なことで知られており、夏の暑い時期を乗り越えるために栄養が豊富なウナギを食べようという風習が我が国にはある。

 しかし、2014年に国際自然保護連合によってニホンウナギは「絶滅する危険性が高い絶滅危惧種」に指定された。日本でのウナギの乱獲は世界的な問題となっている。

 また、ウナギの価格は高騰を続けているため、密漁が横行し、暴力団の介入も指摘されている。ウナギの消費が続くと反社会的勢力の資金源になることも危惧されているのだ。

 そんな中で土用の丑の日だからといって平気でウナギを食べるという風習は、現代にそぐわなくなってきているというわけだ。

「日本ではウナギの養殖って盛んなんじゃないの?」と考える方もいるかもしれないが、ウナギの養殖は天然のシラスウナギを捕獲して育てる。つまりシラスウナギそのものが捕獲できなければ、養殖することも困難なのだ。

 シラスウナギは謎が多く、近年までどこからやってくるのか不明だった。2006年になって魚類学者の塚本勝巳教授の研究によって、世界中でたった一か所、グアム島の西側にあるスルガ海山がニホンウナギの産卵場所だと解明された。

 ちなみにウナギの完全養殖、天然資源に頼らない養殖にも成功しているが、コストが非常に高いために市場に出回るようになるまでの道のりは険しい。

 稚魚の前段階である子魚が死にやすく、アブラツノザメの卵が餌だが、このアブラツノザメも絶滅危惧種の候補だ。さらになぜか養殖ではオスばかりに育ってしまう。

 その生態に不可思議な点の多いウナギだが、今回のテーマである「レプトケファルス」こそ、そのシラスウナギのことだ。ニホンウナギだけでなくカライワシ上目の魚の幼生の総称だ。

 シラスウナギという呼び名からも分かる通り、見た目はシラスのような細く白い魚で透き通った体を持つ。大きさは大体5センチ程度。これが1メートルほどのウナギに成長するのだ。

 しかし、幼生であるにもかかわらず巨大な固体が捕獲され話題になったことがある。なんと、その大きさは1・8メートルにも及ぶ。時は1930年、デンマークの海洋調査船が南大西洋のセント・ヘレナ島近くで捕獲したものだ。前述のように5センチのレプトケファルスが1メートルに成長すると計算すると、このレプトケファルスは36メートルにもなってしまう。

 ヨーロッパでは「シーサーペント(海洋で目撃された細長く巨大な体を持つUMAの総称)の正体が判明した!」と話題になった。その後も大型のレプトケファルスは捕獲されたが、成体は見つからないままだった。

 この巨大なレプトケファルスは1960年代になって正体が判明する。変態途中の固体が採取されたことによって、深海に広く生息するソコギス亜目という魚類の幼生である可能性が高いと指摘される。

 そして変態後も大きさはそれほど変わらないことも分かってしまった。どうやらシーサーペントの幼生ではなかったようだ。

 そもそもウナギが、レプトケファルスが非常に特殊な生態を持つのだが、その特殊性ゆえか、伝説上の生物と結びついてしまった。ウナギの生態の解明も進むことを願う。

【関連動画】レプトケファルス幼生 – Leptocephalus

【217】大きさだけでなく人間を超える存在としての「巨人」

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カーディフの巨人

 巨人——それは人間をはるかに超える大きさを持った人型の生物。古くはギリシャ神話に出てくる神々に戦いを挑んだ「ギガンテス族」や巨大な体を持つ神「タイタン」など伝承の中にも出てくる存在である。

 特に様々な妖精や怪物が登場する北欧神話において、巨人とは神々と相対する存在で、強大で破壊的な力を持ち、醜い存在として描かれた。人間にとって畏怖の対象であった「自然」を象徴するかのような存在である。

 旧約聖書にも「ネフィリム」という「天から落ちてきた者たち」という意味の巨人族がいる。神と人間の女の間に生まれた生き物だ。

 決して西洋文化だけの存在ではなく、中国では宇宙をつくる創世の神、天地開闢(かいびゃく)物語の主人公である盤古も巨人である。天と地がくっついていた時代に、毎日身長を伸ばして天と地を押し分けたのだ。

 ちなみに中国では2億年前に存在していた超大陸である「パンゲア」、つまり今の6大陸に分かれる前の大陸を「盤古大陸」と表記する。

 我が日本には妖怪ダイダラボッチの伝承が各地に残り、山や沼などの地形をつくっていったとされる。

 人間にとって最高の生物である人間、その上位の存在として「大きな人間」を人間が創造してきたことが推測できる。しかし、大きな人間が実在したのではないかと思わされるモデルがあったことも否定できない。

 我々の先祖である「クロマニヨン人」と共存していた「デニソワ人」はかなり身長が大きいため、「デニソワ人」を見た記憶が神話や伝説の巨人へとつながった可能性はある。

 16〜18世紀にかけて、ヨーロッパ人の間で噂になっていた「パタゴン」も巨人の一種だ。人類初の世界一周を成し遂げたマゼラン探検隊の一員、アントニオ・ピガフェッタがその存在を広く知らしめた。

 パタゴンは南米の南端で生活していたと言われ、現在も残る「パタゴニア地方」の語源である。

 当時のイラストでは探検隊の2倍以上の大きさで描かれ、諸説あるが、身長は4〜6メートルもあると言われていた。実際のパタゴンは190センチ程度だったと、後に研究結果が出ている。

 他にも19世紀末には出どころは不明だが、2メートル近い身長の巨人の全身骨格が出土し、写真も残されている。

 一方で巨人という他の未確認生物と一線を画す存在はロマンが詰まっているせいか、フェイクを生み出す騒動にもなった。

 1869年、ジョージ・ハルはニューヨーク州のカーディフに全長3メートルの人型の石膏像を埋め、自分でそれを掘り起こした。そして自分で「巨人の化石を掘り出した」と発表したのだ。

 ハルは科学知識にたけていたわけではなく、専門家たちはすぐにフェイクだと見破ったが、話題が独り歩きして全米を騒がせた。ハル自身は無神論者で、牧師と巨人の存在について口論になり、そこで巨人の捏造を思いついたのだ。

 前述の通り専門家たちには見抜かれていたが、キリスト教原理主義者の中には進化論を否定する証拠として「カーディフの巨人」を支持する者も現れた。

 ハルは巨人で興行を狙ったが、最終的にうまくいかず、偽造を認める結果となった。

【関連動画】REAL GIANTS VIDEO SHOCK REAL PROOF 100% 2017 Nephilim

【218】スコットランドの奇妙な料理の正体?「野生のハギス」

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スコットランドの伝統料理「ハギス」

 この写真、スコットランドの伝統料理である「ハギス」というものである。ハギスとはスコットランドの高地、ハイランド地方に生息すると言われる動物の名前だ。

 

 同地方に古くから伝わるハギスは全身を体毛に覆われた小型の哺乳類といった外見を持つ。スコットランド最大の都市・グラスゴーのケルビングローブ美術館に展示されている標本からは、特に頭髪が長いということが分かる。

 

 リスやムササビに近い顔つきのようだが、カモノハシのようにクチバシを持っているとも言われている。体毛の色は基本的に茶色で構成されている。

 

 左右の足の長さが違っており、これは山の斜面に合わせて形状が変わったため、右足が長い固体は反時計回りに、左足が長い固体は時計回りに早く走ることができると言われている。

 

 右足の長い種族は右足の長い種族同士で、左足が長い種族は左足が長い種族同士で交尾をするため、足の長さが交じることはないようだ。また、他にはハギスは3本足だという説もあり、足の長さの違いからそう見えたのではないかと筆者は考えている。

 

 ハギスは山の中でひっそりと暮らし、あまり人目には触れない生物である。満月の夜に心が清らかな人間だけが見ることができるという言い伝えもある。

 

 ここまで読んでお気づきの方もいるだろうが、このハギスは言い伝えの中に残る空想の動物である。ケビングローブ美術館の「野生のハギス」の標本も人工のものである。

 

 ハギスという料理は羊の胃袋に羊の内臓を詰めてゆで、または蒸したプディングの一種だ。内臓だけでなく小麦や玉ねぎ、ハーブを一緒に詰め、コショウなどの香辛料も使われる。

 

 近年ではベジタリアン用の野菜のみを使ったハギスもあるようだ。写真の通り、あまり見た目が良くないために架空の動物、ハギスから作られているという冗談が広まったのかもしれない。

 

 その一方で、このハギスを本当に「ハギスという動物の肉」だと思っている人もいるようで、スコットランドへの米国人旅行者の3分の1が勘違いをしているというアンケート結果も出た。

 

 しかし、現在はスコットランド人でも15%ほどの人がハギスを何なのかよく分かっておらず、認知度は下がっていると言われている。毎年「ハギスハント」と言われる、ハギスを捜索するイベントも行われているので、盛り上がってほしいところである。

 

【関連動画】The Tale of the Wild Haggis: from first sight to Burns Night

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