未確認生物の中には、我々が知っている生物ながら微妙に姿や身体的特徴が違っているというものがある。
UMAはあくまで新種として認められていない生物も該当するので、昨年に新種として認められたオランウータンの一種なども該当する。
このインドネシア・スマトラ島で見つかったオランウータンは、既知のオランウータンと違い「縮れた毛」に覆われている。大型類人猿の新種が発見されるのは新種発見の中でも珍しいケースにあたるため、一躍注目を集めた。新種として認定されるまでは、現地で細々と目撃証言があったにすぎない。非常に希少で絶滅が危惧される種であったが、地道な調査の結果、実在していたことが判明し、新種に認定されたのだ。
このように、実在しているか判然としない亜種もまたUMAの範ちゅうに該当する。たとえば、ユーラシア大陸に生息しているのではないかとみられている「ブルータイガー」もその一つだ。
ブルータイガーは文字どおり、青い毛並みのトラのこと。中国や朝鮮半島、ビルマ(現ミャンマー)などで目撃証言が存在することから、アモイトラやスマトラトラの亜種ではないかと推測されている。
初めてこのトラの目撃証言が出たのは1910年9月、宣教師のハリー・コールドウェル氏が中国・福建省の森の中に入った時だった。非常に濃い青色の大きな物体が動いたように見えたため、何なのか確認しようと目を凝らしてみたところ、トラの毛皮の黄色い部分が全て美しい青色に染まっている個体がいるのが確認できたのだという。
彼はたまたま猟銃を手に森に入っていたため、仕留めようとも思ったそうだが、距離が離れていたうえに、トラに気づいていない地元の子供が2人いた。子供を巻き込んではいけないと思って場所を移そうとしたところ、トラも何かを察知したのか、向きを変えて森の中に入って消えてしまったのだという。
このような青いトラの目撃証言は朝鮮戦争時代の韓国国内や、ビルマなどでも報告されていたようだ。
毛色が違うトラといえばホワイトタイガーがいるが、こちらはベンガルトラの白変種であり、わずかに茶色やクリーム色の体色が出てくるものも存在している。それでなくとも霊長類を除く現生哺乳類の大半は感知できる色が少ないため、体色も単色の濃淡に1色追加される程度など、我々から見ると地味な色合いになるのだ。
もし、茶色い部分が青い個体がいたとしても、トラ同士では「別の個体がいる」と認識できないかもしれない。白変種でもない限り、自然界に別の色を持つ毛並みの個体が発生する可能性は極めて低いはずなのだが、真相は果たして?