当サイトの好評連載「山口敏太郎のUMA図鑑」が記念すべき100回を迎えた。特別企画として、山口氏がお台場デックス東京ビーチ内で運営している「山口敏太郎の妖怪博物館」から展示物を公開。同博物館では、山口氏が本格的にオカルト研究に没頭してから20年以上をかけて収集したUMA、UFO、妖怪、幽霊、超能力、呪いなどに関する珍奇なアイテムを展示している。
山口氏は「海外からやって来る観光客に、ジャパニーズトラディショナルモンスターである妖怪やUMAを”クールジャパンの新しい魅力“として伝えることができたら幸いです」と語る。
展示物は「呪いの人形」「霊界からの丹波哲郎先生のメッセージ」「ブードゥーの呪い人形」「瞬きする人形」「ケサランパサラン」「出征兵士が持っていった銃弾を避ける天狗の牙」「親鸞上人が魚を瞬時に石に変えた魚石」「ユリゲラーの弟子が折ったスプーン」「座敷わらしがいた金田一温泉・緑風荘の焼け残りのちょうちん」「未来を的中させるイルミナティカード」「不吉なことほどよく当たる悪魔のカード」などなど、オカルト好きならワクワクしてしまう。
展示物から数点取り上げさせてもらおう。まずは「チュパカブラの剥製」。チュパカブラとはスペイン語で「ヤギの血を吸う者」という意味。南米でたびたび目撃され、家畜が襲われる被害を出している凶暴なUMAだ。大きな口に鋭い牙は見るだけでゾッとする。食肉動物らしき牙やだらりと伸びた舌がある。防腐処理を施しているためか、大きな目は白濁しており、全身に生えているという剛毛もなくあめ色の硬い皮が張っている。
山口氏は「この剥製は北米産のイヌ科の動物、コヨーテを加工して作られたものではないかと考えている。海外ではUMAや怪物のリアルな剥製やフィギュアを作製し、観客を驚かしたり作製する技術を競い合う文化があるのだ。偽物であることに目を向けるのではなく、むしろ作り手の『迫力ある物を作って驚かせてやろう』という遊び心を楽しむべきものなのだ」と説明する。
「ツチノコの干し首」も面白い。ツチノコはキング・オブ・UMA。由緒書きによると、これは幕末から明治ごろのもので、会津藩の領内で捕獲された個体の首を乾燥させた物だとされている。しかしツチノコの特徴といえば、太くゴロンとした胴体部分だ。それなのに干し首では意味がないのでは?
「この干し首はツチノコではない別の生き物のではないかとの説が出ている。体色と大きさが同じくらいの爬虫類で、東南アジア地域に広く生息しているトッケイというヤモリがいるのだ。また中国では乾燥させたものを蛤かい(ごうかい)という漢方薬としており、呼吸器官やせき止めの効能があるとされている。この蛤かいの外見が、このツチノコの干し首とそっくりなのだ。恐らく漢方薬として購入した人物が残った頭の部分でそれらしく仕立て上げたものなのだろう。昔の日本には怪物のミイラを創作し、楽しむ文化が存在した。今は廃れてしまった妖怪を楽しむ文化の再来といえるのではないだろうか」と山口氏。
大阪の某マニアショップに売られていた謎のミイラ「ラーミ」。山口氏は「妖怪とも人間とも違うため正体は宇宙人とも噂されている。ミイラを保管してあった黒い箱には『半石化木乃伊』と書かれていますが、ガラスケースにはなぜか『ラーミ』との記載が。正体は分からない」と言う。
他にもミイラ、剥製はたくさんある。また、お面には魂が宿るというが、面の展示も多い。
その一つ「笑い面」というのは、山口氏が古物商から手に入れたもので、一見、何の変哲もない古い面だ。しかし、霊感の強い人たちはこぞって、「嫌な予感がするから手放した方がいい」「気持ちが悪い」と指摘してくるのだという。その後、異変が起きた。山口氏は「うちの従業員の一人が深夜に、夜中に事務所内でゲラゲラと笑う声が聞こえたので、様子を見に行った。人はいないし、人の気配もない。それでも声が聞こえてくる方に顔を向けると、例の面と目が合ったという」と明かす。
「妖精のミイラ」は何とも不気味。雨乞いや水害よけの信仰対象となることもあった「河童のミイラ」。この連載でも取り上げたことがある「ジャッカロープの剥製」もある。中には東京スポーツ紙上を飾ったUMAや妖怪の実物が見られる常設・妖怪博物館は、日本でもここだけだろう。